【12星座の物語】ギリシャ神話から知る牡牛座

占星術でおなじみの12星座。それぞれの星座はギリシャ神話と深い関連があります。古代バビロニアで生まれた占星術はその後ギリシャに伝わり、後に神話の物語や登場人物が結び付けられました。

占星術でなじみのある12星座は、ギリシャ神話のなかに時代や地域を越えて伝わる元型的な意味を見いだすことができ、ギリシャ神話を知ることで星座のもつ性質をより多面的かつ本質的に理解できます。

この記事では、12星座の中から牡牛座にまつわる神話についてわかりやすくお伝えします。

目次

牡牛座の基本情報

牡牛座の記号

星占いで牡牛座の人:4月20日~5月20日生まれ

一般的に星占いで「牡牛座」という時は、生まれた瞬間に太陽が牡牛座に位置していたことを意味しています。

学名は「タウルス(Taurus)」。太陽の通り道上にある黄道12星座のひとつです。

牡牛座は、夜空に見える星の中で最も明るい星である一等星を持つことで知られています。牡牛座の一等星は「アルデバラン」で、牡牛の目に当たる部分に輝いています。なお、アルデバランは牡牛座α星という別名を持ちます。

夜空全体で見える一等星は21個しかなく、アルデバランは全天21の一等星の1つです。

牡牛の肩のあたりにプレアデス星団もあります。日本では「すばる」と呼ばれている有名な星団です。

あわせて読みたい

牡牛座はいつ見られる?

牡牛座は冬の夜空を代表する星座の一つ。肉眼でも良く見えるオリオン座の隣に見られ、秋の終わりころから冬の間中観測できます。

オリオン座の中心に3つ並ぶ星を目印にして右斜め上の方を探してみると、アルデバランを見つけられるでしょう。

牡牛座のギリシャ神話

牡牛座と関連があるとされているギリシャ神話はいくつかありますが、ここでは「ゼウスとエウロペ」の神話と「プレアデス」の神話を紹介します。

ゼウスとエウロペの物語

牡牛座と関連があるとされている代表的な神話は、ギリシャ神話の主神であるゼウスと古代都市フェニキアの王女エウロペの物語です。この神話は、古代ギリシャ神話の中でも特に有名な物語の一つとして知られています。

エウロペは、とても美しい女性でした。ある日、ゼウスが宮殿から下界を眺めていると、エウロペが侍女たちと海辺で花を摘んでいる様子を目にしました。彼女の美しさに一目ぼれしたゼウス。なんとか彼女を手に入れたいと、白く美しい牡牛に変身しエウロペに近づきます。

美しく穏やかな牡牛に心を許したエウロペが、ゼウス扮する牡牛の背に乗ったとき、牡牛は海に飛び込みクレタ島まで彼女を連れ去りました。そこでゼウスは人間の姿に戻り正体を明かします。「自分の物になれば永遠に名を残すことになる」とエウロペを口説き、彼らは結ばれました。ゼウスとエウロペの間には、ミノス、ラダマンテュス、サルペドンという3人の息子が生まれ、彼らはクレタ島の支配者になりました。

後に、クレタ島から西の大陸は「ヨーロッパ」と呼ばれるようになりますが、これはエウロペの名前に由来すると言われています。「永遠に名前を残す」というゼウスの約束は、このような形で果たされました。

ゼウスとエウロペの物語は、ヨーロッパの起源を象徴する神話としても知られています。

プレアデス姉妹の物語

夜空の牡牛座の肩のあたりに見られる7つの星の集団、プレアデス星団は、ギリシャ神話では7人姉妹のプレアデスが星に変えられたと言い伝えられています。

プレアデス姉妹は、ティタン(タイタン)族で天を支えるアトラスの娘で、月と狩りの女神アルテミスに仕えていました。彼女たちはその美しさから神々の寵愛を受け、長女マイアはゼウスとの間にヘルメスを産んだことで特に知られています。

ある日、プレアデス姉妹が森で遊んでいると、乱暴者で知られる狩人のオリオンと遭遇します。オリオンが彼女たちを気に入り強引に誘おうとしたため、姉妹はその場から逃げ出しました。オリオンから逃げまどい、女神アルテミスに助けを求めると、アルテミスは彼女たちを白い鳩にして空に逃がします。この鳩がそのまま星になったと言われています。(※プレアデスが星になった由来は諸説あり、ゼウスが星に変えたという説もあります。)

ギリシャ神話から読み解く牡牛座の意味

牡牛座とこの神話の関連性は、ゼウスがエウロペを誘惑するために白い牡牛に変身したことにあります。この神話から、牡牛座は美しさ、そして魅惑を象徴するものとして捉えることができます。

西洋占星術における牡牛座は、地のエレメントを持ち、次のような意味を持ちます。

・安定感
・忍耐力
・実用性
・美的感覚を持つ
・堅実さ
・美しさ
・魅惑 等

牡牛座は、物質的な豊かさや快適さを重視し、地に足をつけた現実的なアプローチを好む傾向があります。

ゼウスとエウロペの神話にみる牡牛座の性質

ゼウスとエウロペの神話の中では、以下の点が牡牛座の性質と関連があると考えられています。

ゼウスがエウロペを誘惑するために美しい白い牡牛に変身したこと

ゼウスは、エウロペを誘惑するために美しい白い牡牛に変身し、その美しさでエウロペを魅了し誘惑に成功しました。このことは、金星を支配星にもつ牡牛座が示唆する美しさと魅力を象徴しています。

エウロペがヨーロッパ大陸の名前の由来となったこと

牡牛座は地のエレメントに属し、物質的な豊かさや地に足をつけた安定感を象徴します。エウロペがヨーロッパ大陸の名前の由来となったことも、牡牛座の地に足をつけた安定感を象徴していると言えます。

プレアデス姉妹の神話にみる牡牛座の性質

プレアデス姉妹の神話の中では、以下の点が牡牛座の性質と関連があると考えられています。

プレアデス姉妹がオリンポスの神々の子どもを産んだこと

プレアデス7姉妹はその美しさから、末妹メロペーを除いた6人が、ゼウス、ポセイドン、アレスなどオリンポスの重要な男性神から寵愛を受け、神々の子どもを産みました。

この物語は、牡牛座の「運命性」「美しさ」「豊かな養育や豊穣」を示唆しています。

プレアデス姉妹は、ティタン(タイタン)族アトラスの娘ですが、ティタン族は大地の女神ガイアと天の神ウラノスの子どもたちで、原初の神として力と自然現象をつかさどる役割をもっていました。

一方、プレアデス姉妹が寵愛を受けたオリンポスの神々は、より人間的な特徴や感情を持っており、芸術、法、戦争、愛など、人間の社会や文化に深く関与しています。

つまり、プレアデス姉妹は、ティタン的な性質である大地からオリンポス的な性質である文化などの豊かさを生み出すことを、女性性の側面から支えたと言えます。この点が、牡牛座の性質である豊かさと関連していると解釈できます。

プレアデス姉妹の生涯が、家族との絆、相互サポートに深く根ざしていたこと

牡牛座は対向サインが蠍座であることから、成熟すると「相互サポート」の性質を示唆します。

また古代占星術における品位の考え方で、月は牡牛座に入ると、天体のエネルギーがもっともパワフルにそしてポジティブに発揮される状態(エグザルテーション)になると考えられています。

「家族との絆」や「豊かさ」は、エグザルテーションの月の性質とも関連しています。

牡牛座と関連するギリシャ神話の女神

牡牛座と関連の深い神はゼウスが知られていますが、大地の女神ガイアもまた牡牛座に対応しています。

ガイアはすべての生命の母であるとされる地母神です。カオスから生まれた世界の始まりから存在した神で、母なる大地である地球の象徴とされています。ガイアは、天の神ウラノス、海の神ポントス、山々の神ウーレアを創造しました。

後にガイアは、ウラノスとの間にティタン族と言われる男女6柱ずつの子どもを生みました。ガイアとウラノスの神話の中には、現代へのメッセージとも読み取れる物語が残されています。

ウラノスの去勢の物語

ウラノスは、ガイアとの間に生まれた子ども達が、自分の権力を脅かすことを恐れ、子どもたちを次々と奈落の底に幽閉しました。

これに激しく怒ったガイアは、最も勇敢な息子であるティタン族のクロノスに斧を与え、ウラノスに復讐するように命じます。

クロノスは兄弟たちを呼び集め、ウラノスを待ち伏せました。ある夜、ウラノスがガイアの上に横たわったとき、クロノスは鎌で父ウラノスを去勢しました。

この時、ウラノスの去勢されたものの一部が海に落ち、美の女神であるアフロディーテが生まれ、ガイアに滴り落ちた血からは、復讐の女神であるエリニウスやギガース(巨人族)などが生まれました。

その後、クロノスはティタン族の指導者となり、新たな時代を切り開きますが、最終的にゼウスによって倒され、オリンポスの神々の時代が到来しました。

ガイアとウラノスの物語が意味すること

水瓶座の記号

ウラノスがガイアによって去勢された物語は、人間界で繰り返されていると考えられます。

ガイアは地球や女性性を象徴し、ウラノスは人為や男性性を象徴しています。占星術と関連づけるならば、ウラノスは天王星そして水瓶座に対応しています。

天王星は科学や人工的なものと関連していますが、天王星が発見された1871年は産業革命の時期。テクノロジーの進歩、工業化、医療、食糧生産、通信、交通などのアーティフィシャル(人工的)な技術が進歩しました。

産業革命により豊かさがもたらされましたが、その一方で地球に毒素が垂れ流され、海や森、河川は汚染されました。その因果は、公害や天災、多くの病気といった形で地球から人間に巡ってきました。

こうなることがわかっていたため、来たるべき時代まで、天王星の力が分散されるように封印されたとも考えられます。

水瓶座の時代に向けてのメッセージ

現在、春分点は魚座にありますが、この先水瓶座に移動し、一説によると2620年頃に水瓶座の時代(瓶宮の時代)が到来します。

この水瓶座の時代までに、人間はガイア=地球・女性性とウラノス=人為・男性性の二極の調和を目指していく必要があるのでしょう。

現代は、AIをはじめとする人工的なテクノロジーが急速に発展しています。しかし、テクノロジーの発展をアーティフィシャル=人工的に推し進め制御なしに暴走すると、AIによって人間が管理されるような冷たい世界が到来してしまうことが懸念されます。そこで重要となるのが、自然の豊かさや女性性と深く結びつき、ファインアート=純粋芸術として物ごとを創造していくことです。

アーティフィシャル(artificial)とファインアート(finart)は同じartではあるものの、人工的と芸術的という対比の構造にあります。芸術とは、霊性を感覚世界で表現したものです。

ガイアとウラノスによる創造神話は、ウラノス・天王星・水瓶座(霊性)と、ガイア・地球・牡牛座(感覚世界)が結ばれながらも、これから先、芸術的に生きる必要があるということを伝えているのかもしれません。

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次