キロンは、1977年11月1日にカリフォルニアで発見された天体です。この記事では、キロンの占星術的な意味について解説します。
キロンについて
キロンの意味
キロンは「魂の傷（トラウマ）」を表します。
「傷ついた癒し手」とも呼ばれ、癒し・ヒーリングに関わる天体です。
キロンの位置
土星と天王星の間に位置する天体です。土星までが人生の範疇であり、地球上での時間軸が適用されると言われます。天王星以降は、人智を超えたレベルの象徴となります。そのため、内惑星とトランスサタニアン橋渡し的なポジションが、キロンの役割になります。
キロンの公転周期とキロンリターン
公転周期は、およそ50年です。50年に1度キロンリターンを迎えます。キロンリターンは50歳ころ。魂の傷を癒すためには50年必要なのです。
キロンの神話
キロンは、ギリシャ神話におけるケンタウロス族の王であり、ケイロンがキロン（カイロン）の名前の由来です。神話でのケイロンは、母親から見捨てられます。その痛みを知っているからこそ、ケイロンは優れた賢者となりました。
キロンが取り上げられる時代背景
キロンが提示するテーマは「トラウマ」です。キロンが占星術的に取り上げられるようになった背景には、とりわけ現代社会における心理学的アプローチへの興味・関心の高まりがあります。
というのも、現代人は次ような孤独や疎外感を感じている人が多いからです。
- 父親の不在
- 母親からの拒絶
キロンの傷が表すは現代社会の病理でもあります。だからこそ、近年、ヒーリングや癒しに関することが流行しています。
キロンの影響を受けやすい人
キロンの影響を受けやすい人は、ホロスコープ上で次のような配置を取る人と言われます。
- 1ハウス、4ハウス、7ハウス、10ハウス（アンギュラーハウス）にキロンがある。
- キロンがライツ（太陽、月）とアスペクトを持つ。
- アセンダントの支配星とキロンがアスペクトを持つ。
他にも、キロンに対してプログレス天体が合などのアスペクトをとるタイミングでも、心理的な影響が出ることが多いようです。
キロンとハウス
出生図のなかで、キロンがどのハウスにあるか確認してください。キロンの位置するハウスは、あなたの魂がどのような傷を持つか、表しています。
キロンが1ハウス
1ハウスのキロンがある場合、自分が世界に存在することを許していくことが必要です。自分の身体にコンプレックスを抱く場合もあります。
また、1ハウスにキロンを持つ人は、無意識のうちに「自分が地上に誕生する際に、母親に苦痛を与えた」という認識を持っていることがあります。
そのため「自分が存在することで、他者を傷つけてしまうのでは」という不安を抱くことがあります。他人を傷つけるのを恐れるあまり、無意識のうちに、自分を傷つけてしまうことがあります。
欠点も愛し「不完全な自分のままで生きていい」と受け容れたときに、他者を癒す存在になっていきます。
キロンが2ハウス
身体や物質（金銭）が不浄のものであると捉えやすく、自分という物質的な存在性を受け容れることができないと感じることがあります。そのため、自分の肉体が完璧ではないと感じます。「自分（人間）という存在は美しくない」という観念のために、拒食や摂食障害に繋がることがあります。
また性的なものへの嫌悪感から、性的なものを極度に避けたり、あるいは過度に求めることがあります。物質世界への認識の傷は、借金などのお金の問題として現れることもあります。
そうした完璧ではない自己の存在を許していくことで、次第に、他者の肉体的な健康や、健全なお金の使い方といったトピックを扱っていくことができるようになっていきます。
キロンが3ハウス
3ハウスは「コミュニケーション」のハウスです。「他者と知的で親密な関係性を構築することは困難である」という認識を持っている場合があります。
どんなに一生懸命に表現しようとしても、他人から理解されないと感じるかもしれません。次第に無力感や苛立ちを感じて、伝えることを諦めてしまいたいと思うでしょう。
コミュニケーションにおける傷を癒していくことで、すべては理解されないこと・ときに誤解されることを受け容れることができるでしょう。そして次第に、自分を表現していく言葉やコミュニケーションを見つけていくことができるようになります。
キロンが4ハウス
4ハウスは「家庭」「安心できるホーム」を表します。この位置にキロンがあると、幼少時に心が安定する場所を得られなかった場合があります。両親、特に母親との関係性の脆弱性を示すことがあります。（通常は母親ですが、父親の場合もあります。）
人に対して心を開くことへの恐怖心を感じるでしょう。あるいは、他者が自分に心を開こうとすることに抵抗感を感じることがあります。それでいて、他者からの注目や保護、愛情、感謝されることを欲しています。
その矛盾に自分で気づきながらも、自分の感情を解放することができません。自分のなかにある怒りに気が付くことが難しい場合もあります。
この課題を乗り越えるためには、自分の欲求や気持ちを言葉にして伝えていくことが必要でしょう。言葉にするのが難しいと感じる人も多いため、そうした場合は、心理学などのメソッドを学ぶことが助けになります。
キロンが5ハウス
5ハウスにキロンを持つ人は、自分自身の欲に忠実であることにブレーキをかけようとします。そして集団の一員に馴染めるように努めますが、そこには苦しさが伴うはずです。
自己の創造性を受け容れていくことが必要となります。他者から奇妙であると思われることを受け容れていくことで、成功を引き寄せていきます。
欲を満たし、自己表現をして、創造性を発揮していきましょう。癒しのプロセスにおいて、本当の自分を理解すること、表現すること、祝福することが必要です。
そうすることで次第に、この世界を舞台にして、ユニークな能力と才能を発揮していくことができるようになります。
キロンが6ハウス
6ハウスは「健康管理」のハウスです。ここにキロンがあると、身体的なコンプレックスや、健康に関する症状として現れることがあります。
あるいは潔癖症的になったり、日常的な家事や生活力に対しての不足感を感じることがあります。
また、他者の健康問題や病気といったことに関わり続ける傾向があります。他者の世話を通して、人はみな不完全であり、限界があるということを受け容れていきます。動物や植物の世話をすることでも癒されていきます。
他者のなかにある不完全さや、ある種の「ぎこちなさ」は、あなたに謙虚さを教えてくれます。
キロンが7ハウス
7ハウスにキロンを持つ人は他者と関わることを通して、人生の儚さや哀れさ、優しさを感じていきます。自分自身や他者のことを「傷つけられて可哀そうな人」と認識しているかもしれません。
また、自分の傷を他者に投影しやすいため、他者と一緒にいることが辛いと感じることがあります。その結果、結婚や親密な人間関係を築くことに恐れを感じることもあるでしょう。
一方で、ひとりで過ごすだけでは満たされないと感じています。誰かがそばにいて欲しいのです。
他者を通して、自分の心や内面と向き合っていきましょう。他者はあなたに、癒すことができる傷を教えてくれる存在です。そうした視点で人間関係をとらえていくことができれば、あなたは孤立せず、他者と良い関係性を築き共に生きていくことができるようになります。
キロンが8ハウス
8ハウスにキロンがあると他者との性的な関係において、心理的・道徳的な不快感や、問題を抱えることがあります。
また、他者と親密な関係になることへの恐怖心を感じる傾向があります。本心では他者と親密になりたい願望があるのに、自分の身体やエネルギー、資源を分け合うことに怖さを感じます。その両極端の矛盾が、あなたに「ぎこちなさ」を与えるでしょう。
こうした傷を癒し、条件なしに相手を信頼することができるようになっていくことで、他者との真の交わりが可能になります。また、性的、心理的、精神的に他人と交わりながら、相手の傷も本能的に理解できるようになっていきます。深いところで人を癒す人になっていくでしょう。
キロンが9ハウス
9ハウスは「思想・哲学」「探求」のハウスです。「運命」とも関連してきます。
この位置にキロンがあると、人生の意味を求めるあまり意味のない退屈な人生を送ることへの恐れを抱きやすい傾向があります。哲学や宗教に救いを求めたり、放浪生活を送る人もいます。
そして自分の人生を振り返ったり、今の現状を見ることを無意識に避けて、理論や理性で物事を合理化してしまう傾向があります。理性によって、自分の真の動機や欲求に気付くことに蓋をしてしまうのです。
ときに哲学や理論、信仰、法則性を手放していくことが必要となります。そうすることで、自己を正当化するのではなく、自己認識によって、喜びを発見していくことができるようになっていきます。
キロンが10ハウス
10ハウスは「社会的な地位」などを表します。この位置にキロンがある場合、権威的な親や社会に傷ついた経験を持ち、その結果、確固とした社会的地位を築くことに困難を感じることがあります。
あるいは、政治の分野や、社会に認められている専門家などに対して嫌悪感を抱くこともあります。
社会の権威の象徴と和解していくことができれば、真に道徳的な人生観が目覚めます。心を込めて、人々を尊重し、導くことができるようになっていきます。
そして、頑なさを手放していくと、非論理的で超自然なものを信じることができるようになり、大いなるものに委ねることができるようになっていきます
キロンが11ハウス
11ハウスにキロンがあると、自分は”社会のはみ出し者だ”という意識を持ちやすい傾向があります。そのため、集団やグループといった自分より大きなものに属することが難しいと感じることがあります。
また、根本的に「一人はみんなのため、みんなは一人のために」といった価値観を持っています。ですから、あなたが何者かであっても、あるいは何者でなくても、あなたは集団のなかに居ていいのです。傷は集合体を通して癒され、あなた自身が癒されることで集合体にも良い影響が波及します。
そして、あなたには自分以外の異質なものを認める力があります。その力を通して、ユニークなアイデンティティを確立しながら、他者のユニークさも認め、癒していくことができます。
キロンが12ハウス
キロンが12ハウスにある場合、人間の精神の枠を超越したい想いに駆り立てられます。アセンションや次元上昇に対する欲求があり、身体を持ち地上で生きることに、どこか「ぎこちなさ」を感じています。
肉体を持つ限り、どうあがいても私たちは世界に束縛されています。自分を癒しながら、人間である限り持つ恐れの感情や肉体的限界を受け容れていくといいでしょう。
そうすることで、優れたアート作品を残すことができるなど、結果的に肉体を超越していくことも可能です。
また、アーティストではなくても、日々の生活のなかで思いやりや、小さな親切な行為をすることを通して、自分も他者も癒し、平和な世界を生きることができるようになります。
キロンとアスペクト
キロンに対して、ライツ（太陽・月）がハードアスペクトの場合、キロンの傷が葛藤を引き起こしやすいと言われます。イージーアスペクトの場合、キロンの傷には無自覚なことが多いでしょう。
